"内視鏡検査のお話(上部消化管)"を読む
内視鏡検査もいろいろあります。目的も様々です。人間ドック、健康診断、胃がんや大腸がん検診の二次精密検査、すでに癌と確診後の治療方針を決めるための精査、腹痛などの消化器症状に対する精査、消化管出血に対する止血目的の緊急内視鏡、癌やポリープに対する治療的内視鏡、膵癌や胆管癌、胆石の診断治療のための内視鏡など実に色々な目的で毎日検査が行われています。ところで、みなさんは内視鏡についてどのような印象を持っていますか?苦しい、つらい、痛い、怖いなど人から聞いた話だけで「いやだ、こわい、二度としたくない」と思っている人も多いと思います。多くの人は口からの内視鏡検査は苦しくていやだとか、どうせ受けるのなら楽な検査がいいから出来るだけ細い内視鏡スコープで受けたいと思っているでしょう。どうせなら深い麻酔で眠ったまま検査してくれ、と安易に思っていませんか?楽に越したことはありませんが、楽だけど正確な診断がつけられないとしたらどうでしょうか。細ければ楽で安全な検査とか、鼻から入れるから高度な医療だとか思い違いをしていませんか?解像度や操作性は通常の口から入れるタイプの内視鏡の方が鼻から入れる細い内視鏡より優れていることはご存知でしょうか?当院では基本的に正確な診断と病変に対する適切な処置を最優先に考えて経口内視鏡をお勧めしています。どうしても鼻からがよいと希望された場合は臨機応変に対応していますが、視覚的にわかりにくい癌や消化管出血に細い内視鏡は役に立たないことがあります。また内視鏡の医療事故のほとんどが麻酔による副作用であることがわかっています。当院では万全の対策をとっていますが麻酔の危険性は十分知っておく必要があります。当院では長年内視鏡検査に携わってきたスタッフがあらゆる状況に対応できる準備をしたうえで検査を行っています。わからないことは何でも相談してください。安心して検査を受けることが内視鏡検査の苦痛を和らげることにつながります。
"内視鏡検査のお話(下部消化管)"を読む
大腸の内視鏡は苦しいと思っている方が多いと思いますが実際にはそうでもありません。内視鏡検査がつらいものになる場合いくつかの理由があります。前処置が不十分なとき、腹部の手術で癒着が強いとき、また腸が長く複雑に走行していると挿入が難しくなる傾向があります。それらの原因があっても多くの場合は工夫次第で苦痛を軽減できます。残念ながら稀に挿入自体が危険な場合があり、そのような場合は別のアプローチを考えます。たとえば注腸造影といってバリウムなどの造影剤で腸の形を観察する方法やCT検査を用いた粗大病変の有無を調べる方法です。多くの方は必ずしも内視鏡にこだわる必要はありません。ただし出血を伴う場合や癌や腫瘍性病変が疑われる場合は、内視鏡的止血術や組織学的検査の必要性から内視鏡検査が第一選択になってきます。
また大腸検査では空気を入れて観察するため、検査後も腹満感で苦しいことがありますが当院では空気の代わりに炭酸ガスを用いています。炭酸ガスを使用することにより検査の送気に伴う苦痛は軽減できます。また希望すれば痛み止めや麻酔を用いた検査も可能です。安全な検査が受けられるように十分な準備をしていますので安心してください。